過去の事業
教育情報化セミナー開催
学校インターネット事業の意義
1.政府の基本的な考え方と取り組み
- (1)学校インターネットの着実な推進
- 学校に接続されるインターネットの高速化というハード面の施策に取り組む一方で、学校インターネットに関する研究開発に参加する教職員が授業で自由に活用できるコンテンツの充実やヘルプデスク体制の整備等のソフト面における研究環境の充実を図り、先進的な教育方法やシステム・コンテンツの運用技術の確立に努めていく必要がある。また情報教育を担当できる教員の育成が急務であることから、この研究開発の中でコンピュータやインターネットの使い方を指導できる教師の育成にも留意した運営が行われることが望ましい。
- (2)教育情報化の一層の推進
- 諸外国教育情報化の例
- 【米国】 2000年までに全ての学校・教室にインターネットを接続するとの目標を立てており、既に接続率は全米の学校の89%、全教室の51%を達成している。
- 【シンガポール】 2000年までに全ての学校へのLAN導入、2002年までに全学校における2Mbps程度の高速インターネット接続の実現等を目標とする一方、小学校4年生以上の全生徒へのEメールアドレス配布を推進している。教職員については2名につき1台のノートパソコン配布等を行い、家と学校からインターネットにアクセスできる環境が既に実現されている。
- 【イギリス】 2002年までに全学校にインターネット接続を実現する一方、教育的価値のあるコンテンツに対して学校、図書館、職場、家庭等どこからでもアクセスを可能とすることを目標として取り組みを進めている。
- 【韓国】 教育を「知識情報化社会の基盤」と位置づけ2001年までにインターネット使用者を1000万名以上にすることを目標に全国民を対象とする情報化教育計画を推進しているほか、学生1000万人に対するコンピュータ教育の充実を図るため、全国小・中・高等学校にコンピュータ教室とLANの設置、衛星を利用したインターネット、情報化教育用の教材の開発・普及に取り組んでいる。また情報化先導教師全国1万名を選定して特別教育の実施や、大学入試へのコンピュータ教養認証制度の導入を行うほか、英語、中国語など主な外国語の能力を知識情報化時代における最大の武器とした、重点的な教育に取り組んでいる。
- 【インド】 2003年までにコンピュータとインターネットをすべての学校、大学、病院等に導入し、2000年までに教育の品質を向上する遠隔教育プログラムのため、すべての大学、技術専門学校、医療学校等の高等教育機関と、研究開発機関をネットワーク接続する、といった目標を掲げ、積極的な情報化教育を推進している
- わが国の取り組み
- こうした諸外国の状況を踏まえて教育の情報化に対するハード面、ソフト面の環境を国際的に遜色のない水準にするためには、次のような取り組みが必要である。
- 【ハード面の環境整備】
- 全国の小中高等学校に対する1.5Mbps程度の高速インターネット接続及びLANの導入
- 教職員に対するパソコン配備とインターネット接続等
- 【ソフト面の環境整備】
- 指導に当たる教職員のリテラシーの向上
- 教職員に対するサポート体制の整備
- 教育用コンテンツの充実等
- 現在、政府が諸問題に省庁横断的に取り組む新たな推進体制として設置された総理直轄のタスクフォース「バーチャル・エージェンシー」において、教育の情報化についてのプロジェクトが設けられており、上記の取り組みを進めていく上での課題について、関係省庁一体となって解決を図っていくことが期待される。
2.学校インターネット事業実施
上記のような状況を踏まえて、教育情報化の一層の推進を図るため、学校におけるインターネットの理解と利用促進の見地からネットワークシステムの構築技術とそれを活用した教育方法に関する研究開発が「学校インターネット」事業である。
この事業は、総務省(郵政事業庁)の「学校における複合アクセス網活用型インターネットに関する研究開発」事業と、文部科学省の「先進的教育用ネットワークモデル地域」事業との連携事業として行われている。
- (1)ネットワーク構成
- 中央ネットワークセンターのもとに、地域ごとの地域ネットワークセンターを設置し、学校コンピュータ(平均20台程度)に、1.5Mbps相当の高速アクセス回線で接続。
高速アクセス回線としては、DSL、WLL、光ファイバー、CATVを予定している。
- (2)事業期間と対象校
- 学校インターネットの事業期間と対象校は次のようになっている。
- A.学校インターネット1
- 平成11年度~平成13年度の3年間
- 日本全国30地域の小・中・高等学校のうち1050校
- B.学校インターネット2
- 平成12年度~平成14年度の3年間
- 日本全国25地域の小・中・高等学校のうち600校
3.島根県における教育情報化推進施策
島根県教育庁総務課課長補佐 小池隆之氏
本県の教育情報化にあたっては、次のような具体的目標と方策を練り、県内市町村や学校間で情報格差(デジタルディバイド)を出来るだけ生じないような施策を行う予定である。
- (1)教員のリテラシー対策
- 【目的】
- (A)平成13年度までにすべての教員がコンピュータを操作できる。
- (B)平成17年度までにすべての教員がコンピュータを使って指導できる。
- 【施策】
- 教員の研修の充実
入門研修と平行してリーダー養成研修を行う(平成12年度~平成17年度)
「情報」免許教員養成研修(120名)を行う(平成12年度~平成15年度)
- 自己研修用パソコンの無償貸し出し
- 教員相談窓口の創設・教育用ポータルサイトの設置管理
- 教員用メーリングリスト・電子掲示板の設置管理
- (2)啓発事業
- 市町村や学校に対する啓発を進めるためにイベント・研修会・会議の開催を行う。
- (3)教材・指導方法の研究開発
- ソフトウェアライブラリーの充実
- 教材研究・指導方法の研究
- ホームページ作成支援
- (4)情報インフラの整備
- 平成13年度までにすべての学校がインターネットに接続。
- 平成17年度までにすべての教室がインターネットに接続。
- 平成13年度~平成17年度に校内ランを整備する。
- (5)情報格差解消緊急プロジェクト
- 市町村間や学校間でも情報格差を出来るだけ少なくし、なおかつ全国的にもレベルの高い情報教育水準を目指す観点から次の施策を行う。
- 市町村総合相談窓口の設置(標準機器仕様、標準ソフト仕様、導入ガイド)
- 教育用ポータルサイトの設置管理
- 県立学校への校内ランの整備促進
- (6)島根県教育情報化推進協議会(仮称)の設置
- 今後の島根の教育情報化を効率的に推進するには、産学官連携が不可欠であり、かつパソコンボランティアをも加えた協議会設置が必要である。