本校は、島根県中央部の旧跡石見銀山のある大田市にある小規模校で、市教育委員会から設置されるパソコンが1台も無いとITとは全く無縁な学校でした。ところが三葛小学校の廃校を惜しむ県内のパソコンボランティアの方々が三葛小学校をWeb上のホームページに残して下さったのが縁で、本校では、情報研修バスを利用したパソコン教室が開かれ、県内初の学校内LAN構築やホームページの開設などを通じて、島根県でも有数の教育情報化の進んだ先進校になりました。また昨年、本校はかのマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏の印税を基金とした2001年未来基金に採択された全国13校の1校になり、その助成金で現在パソコン12台がネット接続されています。未来基金の採択を受けた事業は「ぎんぎん銀行」を中心として、空き缶回収によってえられるエコ・マネーを預金してお金をため、そのお金で、インターネット上に作られた仮想店舗(バーチャルショップ)と電子商取引をするというもので、かなり高度でユニークな内容になっています。子どもたちが空き缶回収に精を出し、仮想店舗で売る商品開発を懸命にしている姿を見るにつけ、こうした試みをすることが出来て本当に良かったと思っております。
本校は、県都松江市にある中規模校です。昨今小学校においても、コンピュータを利用した授業が盛んに行われるようになりました。しかし、コンピュータはあくまで便利な道具なのであって、通常の国語・算数・理科・社会というカリキュラムの中で、子どもたちにコンピュータの使い方を教える、というのは間違えではなかろうか、とさえ思っております。それよりも自然観察に出かけた中で子どもたちが興味を持った虫や魚あるいは木の葉、そういったものについてコンピュータで調べて見る。そういう教科にとらわれない使い方こそが、子どもたちにコンピュータを身近に感じさせる事が出来るのではないか、と思っております。私たちの学校では、そうした総合的な教科にとらわれない授業の中でコンピュータを便利な道具として利用しておりますし、音楽会などでもホームページ上で見られるようにしたり、郷土の伝統行事などをビデオに録画しては、それを生きた教材としてコンピュータの中で再現する。そういう使い方をしております。やはりこれからは文字とか写真とかそういった静的な物ではなく、動的な素材を使ったコンピュータ教育が子どもたちにとってより重要な事ではないかと思っています。このようなビデオ・オン・デマンドは決して高価な機材がなければ出来ないと言うわけではありません。少し画像は劣るのですが子どもたちはそういった映像でも大変な興味を示してくれております。試行錯誤の連続ですけれども子どもたちの好奇心を引き出すようなコンピュータの使い方が重要だと思っております。