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事業内容

過去の事業

講演会開催 中国公使に聞く情報産業の現状

 (社)島根県情報産業協会が主催し、ジェトロ松江と(社)中国ニュービジネス協議会島根支部の共催により、平成16年度情報化月間行事の一環として、講演会を開催しました。今回は躍進を続ける中国経済と情報産業の係わり合い、特にわが国との関係についてご専門の許 同茂公使を招いてお話しを伺いました。  当日は島根県 澄田知事と松江市 松浦市長に表敬訪問されたのち、講演会場に駆けつけられました。会場では会員社を中心に一般の事業家の皆さんや中国の留学生の方など、120余名の方々が熱心に聴講されました。ここにその要旨をご紹介します。  なお講演会のあと交流会が開催され、情報交換の場として大いに盛り上がりました。

【テーマ】 「中国マクロ経済と情報産業」 許同茂氏
許 同茂氏
【講師】 中華人民共和国駐日本国大使館 公使参事官 許 同茂氏
【会場】 ホテル一畑「平安の間」
【日時】 平成16年10月8日(金)
【対象】 島根県、市町村職員、企業、会社員
【参加者数】 120名
講演要旨

 私は、日本に参りまして大使館で経済を担当して2年になります。中国経済は1979年に改革がスタートして以来25年間でGDP9.4%増となり、1980年と1995年を比較すると生産量が4倍となりました。1995年までの20年間で4倍とする目標を立てましたが、5年間前倒しで実現できました。
 2003年には1人あたりのGDPが1,000米ドルを突破しました(日本では1968年に突破)。とくにレジャー嗜好やマイカー需要など消費が伸びています。
 これから中国経済が過熱すると予想されますので、政府としては業種と地域を勘案してマクロ経済の調整に動いています。例えば金属製鉄分野での自己資本比率を25%から40%に上げること、金融では利息の上限(6~7.5%)を設けること、土地利用ではゴルフ場建設をセーブする(61ヶ所取りやめた結果全国で300ヶ所となる)ことなどです。こうした調整の中でもGDPは平均9.7%と安定的成長を遂げています。
 一方の農業も今まで下降線をたどっていましたが現在は耕作面積も順調に増えてきました。また輸出は若干の赤字ではありますが順調に伸びています。
 中国経済の動きとして、「製造業」早い 「農業」遅い 「第3次産業」遅い の傾向があります。その中にあって電力・油・などエネルギーが極端に不足しています。特にクーラーが一般家庭にも普及し電力不足の一因となっています。上海は夜景が美しいと評判ですが夜間外気が35度を超えるとクーラーの使用電力が増えるため街中のネオンを消して節電に努めています。
 中国経済発展の中期目標として、「2020年まで小康社会」を目指しています。これは1人当りのGDPは現在の4倍3,000米ドルに、伸び率は現在の9%から7~8%と低めに設定してゆとりを持った少しだけ豊な社会を目指すというものです。
 これからは経済の発展だけでは駄目でしょう。これからは人と自然と環境のバランスが必要です。今までの中国では「人間が自然に打ち勝つこと」をスローガンとしていましたがこれは誤りと気づき、現在は人と自然の調和を大切に環境を守りながら発展することに方針を変えました。こうした考え方で法律を整備し、教育にもこの考えを取り入れました。

写真
 中長期政策として「持続可能な発展」を揚げましたが、要点として
  1. 都市と農村の発展
  2. 地域格差のない発展
  3. 経済と社会の共同発展
  4. 人間と自然が仲良く発展
  5. 国内の発展だけでなく国外に開放した発展
 中日経済の関係について考えますと、貿易面では中国から見ると日本はNO.1の貿易国(日本から見るとNO.2)です。2003年のGDPでは日本は中国の4倍で1人あたりのGDPは30倍、これは1960年代の日本の高度成長期と同じレベルでしょう。
 日本は世界のNO.2の経済大国であり技術力も優れています。中国は13億人余りの人口で労働力が豊富、人件費は日本の20分の1と労働力では特に有利です。日本の発展に中国は不可欠でしょう。
 中国の巨大市場の中でエネルギーでは、特に原子力発電に期待しています。現在9基で700万kwですが2020年までに毎年100万kw級を2基づつ建設し、3,600万kwに増やす計画です。これにも日本の企業が参加されています。
 鉄道は日本の新幹線方式か、リニア方式か結論が出ていませんが新線建設の前に在来線を改修して時速120kmから200kmにスピードアップすることとしました。中国の鉄道総延長は世界全体の6%ですが輸送量は世界全体の24%と4倍の利用率です。これにも日本とドイツの企業が参加されていますが鉄道がこれからの産業発展に大いに寄与すると期待しています。このように中日経済の合同作業は「経済実力を有する日本」と「投資環境のある中国」の関係から、大いなる前途が開けています。
 電子情報産業は90年代に年率25%の成長を遂げました。そしてここ5年間は年間35%の成長(GDP3.5倍)です。特にディスプレイなど電子関連産業は世界NO.1ですし、ソフトウエア産業やエンジニアリング関係は2003年には年間30%伸びとなっています。通信関係において2004年4月末での普及率は携帯電話が固定電話を抜きました。インターネットの普及率では世界で第2番です。
 このように中国の情報産業の発展は目覚しくこの点からは大国といえますが、決して強い国ではありません。例えば東部は発展していますが西部の発展は遅れているなど、これからはバランスある発展が不可欠です。
 人類にとって21世紀は情報化の時代となることは紛れもないものです。情報産業は世界発展の重要な牽引車です。中国と日本の情報産業における協力体制を更に1歩進めアジア経済ひいては世界経済発展のために力になることを願っています。

[文責 (社)島根県情報産業協会事務局]