(澄田) 県内産業の振興を計るうえでも企業のニーズとか、あるいは問題点そういうものを把握いたしまして官と学のポテンシャルとか、あるいは県内外の人的なネットワークを活用しながら 企業を支援していくような総合的な窓口、企業支援のためのコーディネートとか、あるいは、プロデュース機能を持った力強いサポート機能が是非とも必要だと思っておりまして、そのため、来年4月に企業支援の総合窓口として、新しく、産業支援財団を設立することにしております。
それから情報通信基盤の整備についてでありますけれども企業の方々からの御意見としてSoft business park内のとくに、通信基盤を充実すべきであるという要望をたくさん私もうかがっております。Soft business park内に現在、大容量の光ファイバー敷設を計画しておりますけれども、これに加えて今年郵政省の関連事業で全国32ヶ所のうちのひとつとしてギガビットクラスの通信回線の接続装置が、島根県に設置されることが決定しております。各県の試験研究機関とかあるいは、民間企業が5年間実験利用できることになりました。この通信回線の端末にスイッチするサーバーこれはSoft business parkの新産業技術センターの中に設置しまして、情報系の立地企業にも活用していただきたいと思っております。
また、つい先日のことでありますけれども本県における光ファイバー等々の高度情報通信基盤を全県的に具体的にどう整備していったらいいのかということについて学識経験者とか国の関係者を集めました検討委員会を立ち上げたばかりであります。本県のように人口が非常に少ない、また、中山間地域、過疎地域を多くかかえる県でございます。民間ベースで通信ネットワークの整備を進めると、どうしてもですね需要と供給の関係でなかなか進まない心配があるんじゃないかと。しかしながら21世紀にむけて本県の振興を計っていくには、なんとしても都市部と同程度の情報ネットワークの整備が是非必要であると、そこで今回この検討委員会で県自らが、民間の利用が可能な、光ファイバー幹線の整備を実施する思料はないのかと、いい方法はないのかこれを検討することに致しております。もちろん、法的な規制等ですね、クリアすべき問題はたくさんありますけども、これはなんとしてもですね、実現したいと考えているところであります。
終わりはですね人的なネットワークによるサポートであります。先程、井原会長さんからですね、お話の中で知的インフラ、人的ネットワークが重要であるというお話がありました。まさに、私も同感であります。知的インフラを充実するための思料としてですね、国の内外の大学、企業等から優秀な人材を客員研究員としてソフトビジネスパークの新産業技術センターに受け入れて、産学官共同研究の特定プロジェクトなどを強力に推進していくことを考えております。
また、先程、江崎先生からですね、ラフカディオハーンの話がでました。かつて松江は、ラフカディオハーンを受け入れて、それこそ大変な文学作品を作られたけれども、その松江の良さというものを島根の良さというものが、あれだけ情報発信された。科学技術分野におけるラフカディオハーンをといういいお話がございました。ま、ひとつ、江崎先生あの豊富な海外経験を目指してですね、現代における科学技術におけるラフカディオハーンを是非紹介していただきたいと思います。またですね、今私共人的ネットワークを広げるために、そのひとつとして、この8月28日でごいますけども、筑波学園研究都市の大学と研究機関に、在籍する島根のゆかりのある研究者の方々、なんと本県出身でですね、この筑波で研究しておる方々なんと200人位おられます。その中の研究者の方々と人材交流、情報交換等をはかるために島根、筑波、研究者ネットワーク島根というのを設立していただきました。今後はこのネットワークをフルに活用して、ソフトビジネスパークの企業誘致とか、あるいは研究開発に役立てていくとともに、あらゆる機会を利用してさらに人的ネットワークを広げてまいりたいと思います。
(須藤) はいどうもありがとうございました。非常に壮大な計画でうまくいくことを祈っているんですけど、とくに、筑波との連携というのは非常に重要だろうと思います。それから知事のほうからも御発言いただいたように、せっかく江埼先生に来ていただいたんで、江埼先生の力を借りてですね、海外の優秀な研究者とも交流できる体制をつくっていただきたいというふうに思います。
そこでその中で負けちゃいられないのが、島根大学であります。島根大学はこれはまさに競争と強調ですので、役に立たないようであれば、これはもう切って捨てるべきものです。そこで北川学長に島根大学はどう戦略的にここでうって出て、もっとあの県に対して影響力を強化していくかということをお話しいただけばと思います。
(北川) そうですねえ、学ががんばらなきゃいかんということでもうだめなら切って捨てると言っていますから、もう危ない話ですが、いやもうまさに今大学もですね、まさに競争の時代でございまして、大きいか小さいかというよりももう質の問題になっています。いかに優れた研究者がいて、いかに優れた研究業績をあげるかということで、まあ勝負がでてきているということになっておりますから、そういう意味ではもちろんおっしゃるとおり負けてはいられないわけです。
島根県の場合、こういった産業分野で学の分野が貢献しうるといいますか、その産学のですね協調というのはどちらかといいますと、従来島根県下第一次産業がどうしても中心で農林漁業が中心になっていますんで、そこがどうしてもかなり中心になっているわけです。それでも、これまでの動向を見ますと、産業の融合化、さきほどちょっと申し上げたですが一次産業だけではなくて一次産業、二次、三次とこのふくらましていって、そして一種の観光まで含めた生産、流通そして加工とサービスを含めたそういう分野にかなり、発展の芽が出てきています。それに対する貢献あるいは産学官の融合の中で、今の産業の融合化ですが同時に、これは私共は、伸ばし産業、やさしい言葉でいえば伸ばし産業とよく言いました。伸ばし産業とはどういうことかというと従来、地場産業がですね、ひとつの研究実績あげておられる。その研究実績の中からさらに新しい分野にセットする部分をですね伸ばしていく。つまり、全く新しいものではなくて、自分の得意な分野で勝負をするということですね。これは例えば、粉ばかり作っていた塗料の会社、あの塗料の粉を小さくする、その小さく微粒子にする技術をつかって例の録音のテープ上に磁気をはってテープができたのはまさに、その粉にする昔塗料の会社が、その電気のおきた粉にかえてテープの上にのせる形で、新しい産業にヒットしていくんです。そういう意味での伸ばし産業分野というのは、結構あってそういう部分があったんです。
もうひとつの対極には、先程いろいろ議論になりましたまさに、ある夜思いつくような、全く従来の伸ばしていく部分じゃなくて、全く違う発想で作っていくといいますか、新しい産業を創造するという、その創造する分野がどちらかというと私達の島根県では欠けてたのではないだろうかという感じがしています。そういう意味でこういった理工学部の総合理工という狙いは、まさにそういう意味で基礎学のうえに応用学を融合させて、その中に伸ばし産業あるいは、融合産業というものを追求すると同時にそれから全く今までの概念とは別の新しい分野の学問というものを結実させて、これを具体的に企業化するするというような分野が産まれてくるという可能性がある。そうとうあるだろうと思います。
そこらへんにこれからの課題があるだろうと思いますが、まあそう一朝一夕に2~3年で、云々という訳にはいきませんが、まさに今、理工学部の先生方は従来の理学部の上にですね、全国から優秀な先生方、先程申し上げたように70名余りですか、70名位ですがね新規に来ていただくという、これは日本の大学の中で、これだけ一挙にですね、教官が増えるというところは、おそらくそうないと思うですね。そういう意味では誠に画期的なことだと思ってますので、そういう意味での役割が非常に大事になるだろうと思っています。
それから、ソフトビジネスパークについては、今の官のほうのいろんな取り組みと同時に学が取り組んでいく中で、やっぱりもうひとつのメリットは、もちろんその研究のそういった分野を応用にきかしていく、あるいは企業化していくという、まあ言ってみれば、つないでいく意味だという形で出てくるだろうと思うです。同時にあの横に北側にですね、できるのは非常に近い距離にできてくるというのは、教官とそれからまあ企業の間に日常的な顔見合わした議論ができ、しかもそのことが先程言ったように、できた結果よりもできる過程、プロセスを大事にするという分野ですね、あの思い付きはなんでできただろうかというと、その日常のいろんな研究の成果、それをあんなふうにやっているというその実態の中から生まれてくるという意味では、企業側の皆さんもおそらく学の産みの苦しいところを見ていただくことが、必要です。
もうひとつのメリットは、学生なんですよね、今、総合理工学部ができて3年目でございますから、3回生が今育って、もう一年あと2年弱で卒業していくわけですが、一応4年生のそうすると、丁度その卒業のときが、平成12年です。ですから丁度ソフトビジネスパークの完成といいますか、それができる時と丁度タイムが合っている訳ですが、その学生が、やっぱりその企業側に就職していくということはその学生が単にその研究者のひとつとして学んだ人間を企業が受け入れるんじゃなくて、そのことを通じて大学の研究者とつながる訳です。「お前こんなことやってるのは、どうだ」と言えば、それはやっぱり先生のところへ聞きにいくだろうし、先生はまた教えた学生がそうやってれば手を取り、いろいろと教えるということがでてくる。これが実は至近距離にある研究体制とその研究開発型の企業とが合体する意味の非常に大事な部分だと思うわけです。教官と学生、このへんの融合といいますか、関係ができあがるということが第一のポイントだと思います。
現に今までも島根県では、例えば星崎電気さんと島根大学のみなさんは、例えば水の研究を通じて、つまり厨房のお水ですね、水がおいしくないと食べ物おいしくない。その水は、最近非常にいろいろな意味で臭いがついたり、いろいろおいしくなくなっている。そういうことは、まあ水の研究をやる時に単に水は、どういうふうに水なんてあまり研究、どんなふうにしたらよいかわからなかった部分があったと思うんですが、それをいま、培養関係を通じた研究で共同研究をしていますし、それから例えば、こないだもテレビに出てましたね。カニがらを使ったキチン質のものをキトサン変えて、それは非常にいろんな方面に使っていかれるとまあ細胞の活性化に役立つことが、それをそのバイオを使ってですが、キトサンを作るという研究も進んでいます。それからアルファー食品という会社が大社にありますが、そこで食品をどのように科学、新しい技術を使うことによって、危機的な、つまり地震が起きたりなんかして、非常に食料がうまく供給できない時には使えるような、すぐ食べられるようなものとか、そういう研究を現在もしております。これからもする訳ですが、最近では、総合理工学をやっている例では、日立金属とね、プラズマの研究をね、通産省の補助をえて、1億円かいくらかの研究を今進めているようです。こういった分野がね、今できてから間もなく2年半位ですから、まだ、できたばかりですけども、もうそういうことが育ちつつあるんです。で、こういった芽をですね、大事に広がして、まあ、グローバルな世界でございますけども、ローカルというものも大事です。まあ、ローカリーという言葉もありますし、ローカリーズグローバルということもありますから、世界に通用する地域産業の活性化というか、発展に高度化に役立ついうことを私共は期待しています。
(須藤) どうもありがとうございます。具体的にどういう取り組みがなされているか、ということを今、お話しいただきました。そして重要なのは、やはりあのフェイスツーフェイス、情報化するのにやはり、フェイスツーフェイスの情報交換というのが、もっとも重要ですので今のソフトビジネスパークの立地が非常に島根大学にとっては、いいと研究者、学生、それから企業の方々が、フェイスツーフェイスに交わっていい方向に研究が行くんじゃないか、それから企業の開発にあたられている方も、かなりインセンティブが高くなるんじゃないかと、いうことが期待できると思います。もうひとつ重要なのは、おそらくこれから順に着手されると思いますが、総合理工学部と生物資源学部における大学院の拡充、それからその総合理工の場合は、新規ですよね。新規と拡充が今後重要になってくるだろうというふうに思います。
それはともかくとして、やはりあの学長も強調なさっていますけども、私も大学のマネージメントにたずさわった経験によると、70名の教員純増というのは、画期的なことだと思います。今、公務員定員削減でどんどん少なくなってますから、その中での純増というのは、かなり取り組みを文部省が評価なさったんだというふうに思います。島根県のバックアップが相当よかったんだろうなあということも思います。それではあの今、インフラについて知事をはじめとして3人の先生方にお話しいただいて、きたんですけども、江崎先生のほうからですね、インフラ、それから今の大学院の問題でもいいんですけども、ここらへん注意しなさいよというあるいは、こうあるべきだということがあれば、お願いします。